「しなの」は、名古屋と長野をむすぶJRの特急列車である。特急しなのに大きな荷物を載せるかたに向けて、荷物置き場などの状況をまとめる。
取りあげるのは「383系」とよばれる車両である。名古屋駅の近くでよく見るオレンジ色の車両の1つで、特急しなのの全列車に使用される。
383系では各号車にさりげなく荷物置き場があり、予約することなく利用できる。客室の中にあるため、盗難に遭うリスクはさほど高くないのがうれしいポイントだ。位置は少なくとも1-6号車では決まっているので、より万全を期すなら下の表のとおり、近くの席を指定するとよい。
【参考】特急しなの(383系)の荷物置き場の位置
- 1号車:名古屋方(11番A-D付近) ※グリーン車
- 2号車:名古屋方(15番A-D付近)
- 3号車:長野方(1番A-D付近)
- 4号車:長野方(1番A-D付近)
- 5号車:長野方(1番A-D付近)
- 6号車:長野方(1番A-D付近)
※数字とアルファベットは座席番号を表す。5,6号車は自由席となるケースあり。
特急しなのは長野へ向かう列車であり、形からしてもこの荷物置き場はスキーグッズ用と思われる。しかし真ん中に折りたたみ式の棚板がついていて、これを広げれば長尺物でなくても対応可能だ。特に混雑しているときには、スーツケースなどを2〜3個は収納できて便利である。
※スーツケースの大きさはこちらに掲載。
一方で座席の上の棚は小さく、大きな荷物を載せるのは危険だ。棚の幅は40cmくらいはあるのだが、天井の近くにRがあるため、厚みがあるものほど奥まで入りきらない。筆者のスーツケースは尋常でないほどはみ出たため、写真だけ撮ってすぐに降ろしてしまった。
この棚に載せられるスーツケースは、おおむね「機内持ち込み」サイズに限られる。機内持ち込み可のスーツケースは幅40cm以下なので、この棚でも(少しはみ出す可能性はあるが)ちゃんと載せることができる。
続いて足元。こちらもあまり荷物を置くのには向いていない。フットレストのためでもあるが、これは足を置いていないと勝手に跳ねあがるタイプで、使い勝手はあまりよくない。いっそのこと撤去して、足元を少しでも広くするほうが現在のサービス水準にかなうといえる。
最後部席の後ろもあまり広くはない。しかしこのスペースはかなり人気があり、真っ先に埋まることも多い。前の席のリクライニングを邪魔する可能性があるので、厚さが25cm以上の荷物を置くのは考えものだ。
383系はインバウンドのイの字もない1994年のデビューで、荷物置き場はそれほど数多くはないため、油断していると置き場所に困ることになる。しかも年末年始などは混雑するので、そうした時期に大きな荷物を持ち込むことには慎重になったほうがよい。
筆者はかつて三が日に名古屋行きの特急しなのに乗車して、大きなスーツケースを通路に置いて手で押さえながら座っている人を見たことがある。本人も疲れるし、なにより通行の邪魔になるので好ましいことではない。