北陸新幹線(E7系)の荷物置き場【グランクラス編】

 

北陸新幹線(E7系)の荷物置き場【グランクラス編】

JR東日本では2010年、グリーン車よりさらにグレードの高い客室「グランクラス」の導入を決め、2011年に東北新幹線で営業運転をスタートさせた。定員を18人までしぼった客室、バックシェルつき座席の採用などで、これまでの新幹線には(個室以外では)なかったゆとり空間が実現した。

グランクラスはその後、JR西日本でも導入することが決められ、いまでは北陸新幹線「かがやき」「はくたか」「あさま」のすべての列車にグランクラスがついている。

北陸新幹線(E7系)の荷物置き場【グランクラス編】 北陸新幹線(E7系)の荷物置き場【グランクラス編】

グランクラスの天井近くに目をむけると、座席の上の棚は飛行機などと同じフタつきタイプ(ハットラック)になっている。グランクラスの公式サイトを見ると、次のような書き方がされている。

『座席の上部には大容量のハットラックをご用意』

なるほど、このハットラックは進行方向の長さは1m以上あり、たしかに大容量だ。しかし肝心なのは幅(進行方向を向いたときの左右の長さ)である。いくら大容量でも、細長いものしか入らないようではあまり意味がないのではないか。このモヤモヤを解消し、グランクラスに大きな荷物を載せるかたに向けて、荷物置き場などの状況をわかりやすく紹介したいと思う。

 

北陸新幹線(E7系)の荷物置き場【グランクラス編】 北陸新幹線(E7系)の荷物置き場【グランクラス編】

結論から言おう。筆者のスーツケース(幅47cm)は、載せることはできてもフタが最後まで閉まらなかった。

さすがに普通車の荷物棚よりは大型化されているが、「大容量」というにはややもの足りない大きさだ(スーツケースの大きさはこちらにも掲載)。これで落ちることはまずないのだが、安全性を考えると、幅が45cmを超えるものはここには置かないほうがよい。

北陸新幹線(E7系)の荷物置き場【グランクラス編】 北陸新幹線(E7系)の荷物置き場【グランクラス編】

グランクラスの公式サイトを読み進めると、気になる文章をもう1つ見つけた。

『スーツケースなどの大きなお荷物は(中略)車両のいちばん後方のスペースにご収納ください』

最後部席後ろのスペースが「公式の」荷物置き場として案内されていることに少し驚いた。東海道新幹線のように予約制にしている路線もあるが、基本的に最後部席の後ろは共用スペースである。つまりほかの客に先を越されたからといって文句はいえないし、列車のゆれで荷物がどこかへ転がって行かないように気をつける必要もあるということだ。

足元に置くこともできるが、これではせっかくのレッグレストがまったく使えないため、あまりおすすめはしない。

 

北陸新幹線(E7系)の荷物置き場【グランクラス編】 北陸新幹線(E7系)の荷物置き場【グランクラス編】

公式サイトでは触れられていないが、北陸新幹線のグランクラスの場合、荷物を置ける場所はもう1つある。客室に向かう細い通路の途中に高さ1mほどのくぼみがあり、ここも荷物置き場として使ってよい場所だ。もちろん予約は不要である。

北陸新幹線(E7系)の荷物置き場【グランクラス編】 北陸新幹線(E7系)の荷物置き場【グランクラス編】

しかしこの荷物置き場、中を覗くとほぼ完全な空洞になっており、セキュリティはザルである。グリーン車のデッキにも荷物置き場があり、そちらはまだワイヤーロックをかけられる手すりがあるだけに、これでいいのかという気もするが…。まあ人通りの少ないグランクラスのデッキでもあるし、気にならない人は使ってみるものよいだろう。

要するにグランクラスに大きな荷物を持ち込むなら、選択肢は合理的な方から数えて次の4つということになる。

  • フタが閉まらないけどハットラックに載せる。
  • 荷物が自分の席から離れる上に先客がいるかもしれないが、最後部席の後ろに置く。
  • レッグレストをあきらめて足元に置く。
  • 盗まれるリスクを承知でデッキに置く。

北陸新幹線のかがやき号とはくたか号(朝と夜の計1往復を除く)にはグランクラスアテンダントが乗車するが、彼女らは基本的に飲み物や軽食をサーブしてくれるだけで、荷物の面倒までは見てくれないので注意が必要だ。「アテンダントが荷物の管理をしてくれなかった」などといきり立つのはお門ちがいである。高価なグランクラスでも、荷物の管理は自分でするべきなのはいうまでもない。

【2022年10月30日追記】

はくたか号へのアテンダントの乗務は、2022年9月30日で打ち切られました。現在はかがやき号だけが対象になっています。

 

快速「マリンライナー」の荷物置き場について

 

快速「マリンライナー」の荷物置き場について

「マリンライナー」は、岡山と香川県の高松をむすぶJRの快速列車である。マリンライナーのグリーン席と普通車指定席の荷物置き場の状況を紹介する。

快速「マリンライナー」の荷物置き場について 快速「マリンライナー」の荷物置き場について

マリンライナーは特急ではないので、運賃のみで乗ることができる。しかし高松方の先頭車(1号車)だけは、早朝と真夜中の数本を除いて2階がグリーン席、1階が普通車指定席の2階建て車両となっており、乗るには別料金が必要だ。

天井が低いため座席の上に棚はないが、客室の隅に荷物置き場があり、スーツケースなどを置くことができる。

快速「マリンライナー」の荷物置き場について 快速「マリンライナー」の荷物置き場について

荷物置き場は2階と1階の両方にある。大きさはどちらも幅が75cm、奥行きは80cmくらいあり、筆者のスーツケースもすっぽりと収まった。この荷物置き場のおかげで、大きな荷物があっても安心だ。

※スーツケースの大きさはこちらに掲載。

快速「マリンライナー」の荷物置き場について 快速「マリンライナー」の荷物置き場について

グリーン席である2階(左の写真)は足元も広い。座席の間隔は1メートルあり、これはほぼ新幹線並みの広さだ。一方、普通席の1階(右の写真)では970mmである。2階とはたった3cmの違いだが、これがなかなか大きく、筆者のスーツケースではややきびしい状態になる。無理なく置ける荷物のサイズは2階で厚さ25cmまで、1階で22cm(おおむね機内持ち込みサイズ)くらいまでといったところだ。

快速「マリンライナー」の荷物置き場について 快速「マリンライナー」の荷物置き場について

マリンライナーの1号車には「5000系」とよばれる車両が使用される。ガイコツのような見た目が特徴的だ。この車両には2階と1階だけでなく、運転室の真後ろにも「パノラマシート」とよばれる座席があり、特に瀬戸大橋を通るときには絶景を楽しむことができる。パノラマシートの座席番号は1番のAからDまでで、券売機での位置づけはグリーン席の最前列ということになる。5000系はかならず高松方に連結される(岡山方は特徴のない普通の車両である)ため、下り列車でグリーン席を利用するときにはいち押しの設備だ。