「アーバンライナー」は、大阪のミナミの繁華街・難波と名古屋をすばやくむすぶため、1988年にデビューした近鉄の特急車両である。
いまは新型車両にフラッグシップの座をゆずり、アーバンライナーは停車駅が増えてスピードは少し落ちた。それでもアーバンライナーの「名阪特急」はまだ健在で、1日にかなりの本数が難波と名古屋の間を走っている。アーバンライナーに大型スーツケースを載せるかたに向けて、荷物棚の大きさやそのほか荷物置き場の状況についてまとめる。
アーバンライナーがデビューした1988年は、荷物置き場といえば座席の上の棚が大本命だった時代であり、スーツケースを載せるならこの棚が頼みの綱となる。大きさは申し分なく、100Lの筆者のスーツケースでさえすっぽりと収まった(スーツケースの大きさはこちらに掲載)。
80年代の車両でここまで立派な荷物棚をそなえているケースは、なかなかめずらしい。いつの時代も近鉄特急には先見の明がある。
アーバンライナーは座席の間隔もかなり広く、足元を荷物置き場として使えるのは強みだ。前の人がリクライニングをしていたらややきびしくはなるが、荷物の厚さが25cmまでならまったく問題ない。
フットレストがついているが、小さいので荷物を置くのに邪魔になることはなさそうだ。テーブルは座席の背面ではなくアームレストから出すタイプなので、よほどのことがない限り荷物とバッティングすることもない。
一方で、デッキは最近の車両にくらべると手狭で古さが見え隠れしている。扉はさすがに自動だが、バスのような折りたたみ式でどこか昭和チックだ。車椅子対応設備の近くだけはプラグドアになっており多少は近代的だが、荷物を置ける棚やロッカーのたぐいはどの号車にも存在しない。
トイレと洗面台は当然として、デッキには飲み物の自動販売機が1か所と、喫煙コーナーが全体で2か所(8両編成では3か所)ある。喫煙コーナーはかつて通路をはさんで両側にあったが、受動喫煙が問題視されてからは片側のみとなり、もう片方はデッドスペースになってしまった。
これを改造して荷物置き場にすれば間違いなくサービスアップだが、もう先の長い車両ではないのでむずかしいか。