サンライズ号は、いまや日本でただ1つになった寝台特急列車である。東京と高松をむすぶ「サンライズ瀬戸」と、東京と出雲市をむすぶ「サンライズ出雲」の2種類があり、東京〜岡山では連結されて1つの列車として走る。「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」の荷物置き場の状況をまとめる。
サンライズ号の寝台にはせまいものが多く、基本的に大きすぎる荷物は持ち込まないほうがよいのだが、荷物置き場がまったくないわけではない。ちゃんと下調べをしておけばそれなりに大きな荷物を持ち込むことはできる。
この記事では「瀬戸」と「出雲」にそれぞれ20部屋ずつあり、個室の中では安い代わりに断トツでせまい設備「ソロ」を取りあげる。
つづいて筆者のスーツケースを紹介する。
大きさは幅42cm、厚さ24cm、高さ67cmで、4〜5日くらいの旅行で使うタイプだ。いわゆる「機内持ち込みサイズ」よりわずかに大きく、飛行機に載せるときは貨物室に預け入れとなる。
「ソロ」の車両は平屋になっており、車両をつらぬく1本の通路にたくさんの扉がある。2種類の部屋を互い違いにして、平屋なのにダブルデッカーのようにしているところが面白い。
この構造をわかりやすく写したのが右上の写真である。このせまいスペースによく2つの個室をねじ込んだものだと感心してしまう。上段と下段、どちらも同じ「ソロ」で料金も一緒だが、じつは設備に違いがあるのだ。そのあたりをくわしく見ていこう。
上段の部屋は、入ってすぐのところが階段になっており、のぼった先にベッドがある。 部屋の奥にはハンガーがあり、そのすぐそばが荷物置き場である。
この荷物置き場には、筆者のスーツケースをすっぽりと収めることができた…本当にギリギリだが。
いったん収めてしまえば上下、左右とも数センチのゆとりはあるが、手前の照明の出っ張りが意外と邪魔で、むりやり押し込んでなんとか…という感じだった。この棚に載せられる荷物は、厚さ24cmがちょうど限界のようだ。あと1cmでも大きかったらあきらめていたと思う。
荷物は階段のステップに置くこともできる。
こちらのほうがサイズにゆとりがあり、幅は28cmくらい、高さは72〜73cmくらいまでOKだ。しかしここに置くと足場が1段なくなってしまうし、スーツケースは列車のゆれで落ちるリスクもある。好みの問題もあると思うが、大きさの問題をクリアできるなら、上で紹介した荷物置き場のほうがおすすめだ。
つづいて下段。こちらはなんと、荷物置き場がない。壁の向こうは上段の部屋であるため、これ以上のスペースを作れないのだ。
下段も出入り口の近くは天井が高くなっている。このあたりに荷物をかけるフックの1つでもあればマシなのだが、ツルンとした壁があるだけだ。下段に荷物を持ち込むときは、自動的に床置きとなってしまう。
その下段の床置きは、上段よりもさらにシビアだ。というのもベッドの端から壁までの距離が24cmしかないためだ。そう、24cmである。案の定、筆者のスーツケースはジャストフィットでゆとりが1mmもなかった。上段も下段も、荷物の厚さが24cmを越すかどうかで状況が大きく変わる。カップホルダーも少し邪魔で、たたまないと荷物の大きさによっては奥まで押し込めないこともある。
ここまで読んでお気づきかもしれないが、筆者はサンライズ号のソロに乗るなら断然、上段を選ぶ。荷物置き場のためでもあるし、上段のほうが部屋の形に不自然なところがなく、圧迫感が少ないためでもある。もちろん、眺めがよいこともポイントだ。特に下りの出雲号は冬場でも明るい時間帯を3時間近くも走るため、景色を楽しむチャンスは多い。
ソロの部屋番号は1番から20番までの通しになっており、上段が偶数で下段が奇数である。ぜひ上段をねらってみよう。
【まとめ】
① 「ソロ」に載せられる荷物は、厚さ24cmまで(特に下段)。
② 上段のほうがやや広くて快適。
③ 部屋番号は、上段が偶数で下段が奇数。